ペンシルパズル研究所

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このブログでは、主に季刊誌「パズル通信ニコリ」(nikoli社)で扱われている、ペンシルパズルの自作問題を公開しています。

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ーーーさあ、一緒に、コスパ抜群の知的ゲーム「ペンシルパズル」で遊びませんか?

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難問!暗号クイズ【解答編】

21/9 出題問題の答え

上1文がヒント、下1文が本文です。

本文では"オッテンドルフ暗号"と呼ばれる置換式暗号を使用しています。

Eはeの全体集合で、e1=kなどはEの中身を説明しています。

ここではe1というのはEという引用文の一行目ということでした。

E=songで、Eは何かの歌。e1〜e5ということで、五行しか歌詞がない。
Eというのは日本国歌君が代」のことでした。

e1=k というのは一行目が「君(Kimi)が代は〜」、e2=t というのは二行目が「千代(Tiyo)に〜」になりますよ、というヒントです。

本文は、君が代を全てひらがな表記した上で、何行目の何文字目を拾うかが書いてあります。e44 → 四行目(いわおなりて)の4文字目 = "と"
という具合です。

こうしていくと、『といxのみはむしですが$やきざけ$のさけはなに』という変換ができます。

xを空白、$を"等と同義だと捉え、変換すると、

『問い ノミは虫ですが、"焼き鮭"の鮭は何』となります。

 

暗号クイズの答えは『魚』でした。

 

21/10 出題問題の答え

反応を見ると、この問題が最も難しかったようです。

私は少しだけ暗号解読の歴史について学んだことがあるのですが、解読されてしまった史上の暗号の最大の弱点はなんだったかといえば「頻度解析に弱かったこと」だと思っています。

頻度解析というのは、暗号文中に登場する同一文字(あるいは単語)の個数を調べて、多く使われているものが日常文でも多く使われる文字(あるいは単語)であろうと推測していくような解読方法です。例えば英語文化であれば、単語には必ずと言っていいほど母音がありますから、「a,e,i,o,u」の返還後の文字が圧倒的な回数で登場してしまうため、すぐにバレちゃうってわけです。

そこで私は頻度解析されても全く問題ないような問題にしているわけですね。上の君が代の問題もそれを意識していました。

本題です。

ハイフンで繋がれている各単語は、ある日本語のカタマリに翻訳されていきます。

文字⇄文字の変換ではなく、単語⇄単語の変換ということに気づく必要があります。
それぞれの暗号単語が何の意味や法則もないことを見破るのが難しいポイントです。

また、問題文中で一度しか使用されていない単語はローマ字変換でき、複数回登場している単語はローマ字変換できないことも大きなヒントになっています。

突然ですが、皆さんは漢字ナンクロや漢字ボナンザといったパズルはご存知でしょうか?
ナンクロというものだけ説明しますと、
Q.数字に当てはまる漢字は? ①石二② 花②風月 ①刀両断
A.①="一" ②="鳥"
というようなパズルです。

世の中にはナンクロを扱う雑誌がいくつも出版されていますが、問題の不文律として「盤面にヒントとして開示されている文字は、パズルの解答に含まれない」というものがあります。逆に言えば「一度しか使われていない文字は隠しませんよ」ということです。
上の例で言うと、「石」や「花」などは、問題文中で一度しか使われていないため③として問題にせず、ヒントとして置いているということです。

何が言いたいかお分かりでしょうか。

この暗号文は、全体がナンクロになっています。

しかし!ただのナンクロではなく、漢字ナンクロとひらがなナンクロの合わせ技のような、非常に変則的なナンクロです。

同じ単語をカッコ数字、一度しか使われていない単語をひらがなに直して書き直してみます。

(1)(2)でん(2)(3)(4)ふらく

(5)(4)いち(6)(7)(8)も(9)

(4)(10)(11)(12)(11)(4)う(13)

(14)ち(15)よう(2)ら(6)(16)

(17)(18)(16)せつ(15)(18)(3)(12)

(15)が(15)(8)(19)(4)(9)ご

(1)(20)とう(21)(10)きょう(19)(17)

(2)(20)いっ(14)[(7)(21)(5)(13)]

 

さらに、これを四単語ずつに区切っていきます。

(1)(2)でん(2)

(3)(4)ふらく

(5)(4)いち(6)

(7)(8)も(9)

(4)(10)(11)(12)

(11)(4)う(13)

(14)ち(15)よう

(2)ら(6)(16)

(17)(18)(16)せつ

(15)(18)(3)(12)

(15)が(15)(8)

(19)(4)(9)ご

(1)(20)とう(21)

(10)きょう(19)(17)

(2)(20)いっ(14)

[(7)(21)(5)(13)]

 

これで問題を解くための準備は終わりです。
解くためには、同じカッコ数字の中に同じひらがなのカタマリを入れて、できた全てのひらがな列を四字熟語に変換できるようにします。

正解は次の通りです。

1=い 2=しん 3=なん 4=こう 5=かい 6=ばん 7=あん 

8=ちゅう 9=さく 10=めい 11=せい 12=だい 13=どく

14=てん 15=む 16=しょう 17=すい 18=り 19=し

20=き 21=ごう

このようにすると、暗号文は上から以下のようになります。

いしんでんしん →以心伝心
なんこうふらく →難攻不落
かいこういちばん →開口一番
あんちゅうもさく →暗中模索
こうめいせいだい →公明正大
せいこううどく →晴耕雨読
てんちむよう →天地無用
しんらばんしょう →森羅万象
すいりしょうせつ →推理小説
むりなんだい →無理難題
むがむちゅう →無我夢中
しこうさくご →試行錯誤
いきとうごう →意気投合
めいきょうしすい →明鏡止水
しんきいってん →心機一転
[あんごうかいどく] →[暗号解読]

 

比較的誰もが知っている四字熟語で問題を構成したつもりですが、ナンクロの難易度を上げることは本意ではありません。難攻不落、暗中模索、無理難題や試行錯誤など解き手が思うであろうことをエッセンスとして混ぜてみました。

ということで、暗号クイズの答えは、『暗号解読』でした。

 

21/11 出題問題の答え

異彩を放つ問題ですが、正方形というところと、上下の英文が実はヒントになっていました。
Magicを強調したりというところです。

また、この問題だけは頻度解析対策をあえてしませんでした。
置き換えよりも、並び替えることを本題にしたかったからです。

表出している数字は1〜25までの小さめの数字と81。
1〜25くらいの数字を文字に変換したいときはアルファベットと相場が決まっています。

1=A 2=B 3=C ・・・
ここまでは比較的楽勝です。81はそのまま残しておきます。

さて並び替えですが、こちらは厄介です。
正解は、魔法陣を作り、その順番で1から80まで読んでいく、というものです。

魔法陣は3×3の場合は回転や反転を除いて1パターンの配列しかないことが知られていますが、大きな正方形になればなるほどいくつも正解があることも同時に知られています。

ここで、タテヨコが奇数マスの正方形の時に機械的に魔法陣を作る戦法があります。
有名ではないかもしれませんが、"ヒンズー式""ヒンズーの連続方式"などと呼ばれています。
私は中学生くらいの頃に知り、楽しくなって巨大な魔法陣を作ったりしていました。

詳しい作成手順はマニアのサイトをご確認いただければと思いますので、ここでは割愛。
Wikipediaの「魔法陣」のページでも紹介されていることを確認しました。

 

出来上がる魔法陣がこちら。最も小さい数字である「1」が最上部中央、最も大きい数字である「81」が最下部中央に来るのが特徴です。「81」はこのパターンを仄めかすために置いておいたものでした。

f:id:puzlabo:20211224154607p:plain

 

数字をアルファベットに並べ替え、さらに上の魔法陣の順番で1番目、2番目、というように並べ替えていくと、以下のようになります。

『DAIJINAOSHIRASEDESUKONOBLOGHACHRISTMASATARINIHIKKOSHISURUYOTEIDESUGOKITAIKUDASAI』

これを変換すると『大事なお知らせです このblogはChristmasあたりに引っ越しする予定です ご期待ください』となります。

12/25頃から前ブログからこちらのブログに引っ越ししましたが、それを事前に告知する内容でした。

 

 

21/12 出題問題の答え

皆さんは「言語学オリンピック」というものをご存知でしょうか。

この問題は、ほぼ言語学オリンピックをそっくりそのままオマージュした問題です。

違いは、取り扱っている言語が、私が即興で作った言語であるということだけです。

 

まず手始めに、全ヒントに共通する「Jid;」という接頭語について考えていきます。
こちらは見比べていくと共通点が見えてくるのではないでしょうか。

「Jid;」は「パズル名に使われている文字種」を説明するために使用しているものです。
ami=カタカナ ort=ひらがな ulk=漢字 ewx=英字 izy=その他記号
ここから、2種以上の文字種を使用している際に間に使っている「af」は「AとB」という時の「と」(英語の"and")という意味ではないかと推測できるはずです。
文字種を表す単語は全て3文字で、別々の母音から始まるというのがちょっとしたこだわりです。

次からは似ているヒントを持つパズル同士を見比べて、共通している部分・共通していない部分を整理していくほかないです。

a②とb①は矢印を使ったパズルであり、そのほかのパズルには矢印が登場しないことから、この2つにしか登場していない「Duu-Movixary」というのがどうやら矢印に関係していそうだぞ、ということが分かります。

a④とb②は対称性がカギになるパズルであることから、この2つにしか登場していない「Gemes」というのがどうやら対称性に関係していそうだぞ、ということが分かります。
大体の問題盤面で対称性を持ったデザインがされている、というパズルについては、対称性が必要不可欠な要素ではないため、ここでは問われていません。

a②、a⑤、a⑥、a⑧、b①、b②、b③では全て黒マスを使うパズルであることから、「Fztthb」というのが黒マスではないかという推測ができます。
さらに、b⑤で「Kntthb」、a⑥等で「Aytthb」という似た単語が出ていることから、
「tthb」がマス、「Fz」が黒、「Ay」が白、「Kn」が青ではないかと推理できます。

これまでの情報と、a①やa④から、「Qujin」が点という意味だと分かります。

このあたりで、「Duu-」というのは「初めから盤面に表出されているパズルの特徴」を説明する時に使用していることが分かってきます。

「Rogg」は線で、「loog」はカタマリ(ブロック)という意味です。
Roggは派生語があり、「Rooges」は「線のループ」、「Roggiz」は「線で繋ぐ」という意味です。a①、a②、a⑦、a⑩あたりを見比べて思いつく想定です。
「iz」はそれ自体に「繋ぐ」という意味を持たせていますので、「Fztthbiz」となると黒マスの繋がりというようなニュアンスになります。
「Roggloog」は合わせて「領域分割」という意味で使用しています。

「phyo」は数字という意味です。派生語の「phyor」は計算するという意味です。
phyoが分かると、a④やa⑧から「pek」は無しという意味で使用していることが分かります。

一度しか登場していませんが、その特徴から「Kardijef」はウソを意味すると考えることができます。

ここからは非常に難しいです。

「vati」は、a⑤やa⑧から「特定の」という意味だと分かります。
「min」は「一つの」という意味です。こちらは決定打に欠けているかもしれません。
「Yaff」は「交差」、「mii」は「禁止」、「Loaq」は「独立する」です。
「Fztthbmiih」は「連黒分断禁ルール」(黒マスが隣同士になってはいけない、黒マスで盤面を分断してはいけない)です。
「Bunpacc」は「移動する」という意味でした。

翻訳の想定解は以下の通りです。
(a)ウソワン (b)ましゅ (c)アイスバーン (d)さとがえり (e)ファイブセルズ

 

いくらでも曲解できるガバガバな作問です。
もっとしっかりと謎解きを楽しみたい方は、こちらから公式の過去問を解いてみてはいかがでしょうか。
日本言語学オリンピック(公式ホームページ)

 

解答まとめ

「Jid;」:日本語ベースでの表記文字種別の説明
「ami」:"カタカナ" 
ort」:"ひらがな" 
「ulk」:"漢字" 
「ewx」:"英字" 
「izy」:"その他記号"
「Duu-」:問題盤面に表出される特徴の説明
「phyo」:"数字"
「phyor」:"計算する"
「pek」:"無し"(英語の"No"に当たる単語)
「af」:"と"(英語の"and"に当たる単語)
「vati」:"特定の"
「Loaq」:"独立した"
「Loaqphyo」:"独立した数字"→同じ数字は同じ列に入らない
「tthb」:マス
「Fz」:"黒い"
「Ay」:"白い"
「Kn」:"青い"
「Movixary」:"矢印"
「Cawj」:"丸"
「Min」:"一つの"
「loog」:"かたまり、ブロック"
「Rogg」:"線"
「iz」:"繋ぎ"
「Rogges」:"線のループ"
「Roggiz」:"線で繋ぐ"
「Qujin」:"点"
「Yaff」:"交差"
mii」:"禁止"
「Fztthbmiih」:いわゆる"連黒分断禁ルール"
「Gemes」:"対称形"
「Kardijef」:"ウソ"
「Bunpacc」:"移動する"